新書、文庫で勉強する日本史

新書や文庫本で日本史の勉強を始めています。まだまだ入門者だと自覚していますが、私と同様の入門者の方や、高校生、大学生の参考になればと思っています。

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中学生向けにやさしく書くということは難しいことだ。~沢寿郎氏の『鎌倉史跡見学』(岩波ジュニア新書)

 沢寿郎氏の『鎌倉史跡見学』(岩波ジュニア新書)を読んでいる(パラパラ見ている?)。

 たぶん、著者は中学生を主な読者に想定し、文章を書いているのだろうけれど、そこで大きな勘違いをしている。
 小学生低学年のような場合には、昔話のようにストーリーテリングによって歴史を語ることは有効だろう。
 しかし、たとえば、「兵糧米を徴収することを奏請しました」とか、「全国の警察権と土地管理権とを手中におさめる」とかの歴史を記述するとなりに、「ところが頼朝にとっては、このように朝廷が恐怖におびえ狼狽しているのが、(中略)絶好の機会でした」とか、「さて、いくらさがしても義経は行方が知れません。(中略。静に)なんど問いただしても、義経とは吉野山で別れたきり行方は知らない、と答えるばかりです」とかの表現は、やはり勘弁してほしい。

 と言いながら、内容は鎌倉時代の政治史と宗教をコンパクトにまとめており、最初にパラッと読むのにはいいかもしれない。いや、他にもっといいのがあるかな。

鎌倉史跡見学 鎌倉史跡見学
沢 寿郎 (1979/01)
岩波書店
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NHK「その時 歴史が動いた」の「謙信恐るべし」(平成19年4月4日 (水) 放送)

NHK「その時 歴史が動いた」の「謙信恐るべし」(平成19年4月4日 (水) 放送)を観た。

http://www.nhk.or.jp/sonotoki/2007_04.html#01

 生涯70回以上の合戦でほとんど負けたことがない戦の天才、まさに、謙信恐るべしである。

 黒田日出男氏が出演していて、洛中洛外図に謙信が描かれているという『謎解き洛中洛外図』(岩波新書)での説が取り上げられていた。でも、黒田氏の説のうち、番組に必要な部分だけで、少し残念(^_^;)
 でも、黒田氏の本では、理念的にしか理解しなかった、信長の謙信を恐れるイメージがつかめた点では、この番組はよかった。

 上杉謙信の家訓がよかった。以下の16条のとおり。
 わからないのもあるが、なるほどと感心できるのもある。

 「心に物なき時は心広く体泰なり」
 「心に我が侭なき時は愛敬失わず」
 「心に欲なき時は義理を行う」
 「心に私なき時は疑うことなし」
 「心に驕りなき時は人を教う」
 「心に誤りなき時は人を畏れず」
 「心に邪見なき時は人を育つる」
 「心に貪りなき時は人に諂うことなし」
 「心に怒りなき時は言葉和らかなり」
 「心に堪忍ある時は事を調う」
 「心に曇りなき時は心静かなり」
 「心に勇ある時は悔やむことなし」
 「心賤しからざる時は願好まず」
 「心に孝行ある時は忠節厚し」
 「心に自慢なき時は人の善を知り」
 「心に迷いなき時は人を咎めず」 

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永井路子さんの『波のかたみ―清盛の妻』(中公文庫)

 永井路子さんの『波のかたみ―清盛の妻』(中公文庫)を読み返している。

 1156年の保元の乱から、1185年の壇ノ浦の平家滅亡までの時代を、平清盛の妻である時子の視点で描いた小説である。
 この著者の小説で微笑ましいというか、そりゃこの方が合理的だと同意したいのが、しばしば系図を挿入することだ。作家によっては、複雑な系図を、小説だからというつもりなのか、本文の言葉で説明しようとするが、こんなふうに系図で処理してもらうほうがずっと読者にとってわかりやすい。
 例えば、保元の乱、平治の乱(1159年)の対立構造もわかりやすい。
 保元の乱は、1156年7月に鳥羽法皇が崩御してすぐに、兄弟である(少なくとも系図上では)の崇徳上皇と後白河天皇の対立に、これまた兄弟である藤原忠通(ただみち)と頼長(よりなが)の対立が加わり、後白河天皇・忠通(ただみち)グループが勝利したものだ。
 平治の乱は、保元の乱の後に権勢を振るっていた藤原信西を、①後白河上皇の寵臣の藤原信頼(のぶより)、②後白河上皇の子である二条天皇の近臣である藤原経宗(つねむね)、惟方(これかた)が、源義朝を使って、襲い、まず信西滅亡。次いで、熊野詣に出掛けていた平清盛が帰京し、①と②のグループの離反の機に①を滅ぼす。また、その後の後白河と二条の対立の中で、②が流罪となり没落。結果、清盛の時代が廻ってくる。
 1180年、源頼朝が挙兵し、翌1181年に清盛が死去し、1185年の壇ノ浦の平家滅亡となるのだが、この12世紀後半というのは、トーナメント戦を戦っているようだ。優勝は源頼朝、準優勝が後白河、清盛はベスト4まで行った、というようなイメージか(^_^;)

 小説だから、その平家のベスト4進出の様子を面白く、読みやすく、描いている。
 時間に余裕があれば一読をお勧めする。
 永井路子さんの作品としては、『美貌の女帝』が最も感心した。それよりは落ちるようにも思うが、『北条政子』よりはこちらがいいように思う。


波のかたみ―清盛の妻 波のかたみ―清盛の妻
永井 路子 (1989/02)
中央公論社
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黒田日出男氏の『竜の棲む日本』(岩波新書)

 黒田日出男氏の『竜の棲む日本』(岩波新書)を読んだ。

 黒田日出男氏の『謎解き洛中洛外図』に続く岩波新書第2弾。傑作の『謎解き洛中洛外図』にはかなわないが、なかなか面白い。
 中世の人々の宇宙観あるいは世界観というのか、空間観念というのかが解明されていくのに感心した。この手の内容の入門書というのは知らなかった。

 一方、『謎解き洛中洛外図』にかなわないというのは、私の学力のせいなのだろうが、明解性が『謎解き洛中洛外図』に比べると劣るという点に思う。『謎解き洛中洛外図』は結論が、(その当否は議論があるとしても)非常に明らかにすっぱりと示されているのに対し、この本はまだまだ難しい問題が残り、研究すべき宿題を提示して、たくさんの勉強すべき文献を掲げて終わる。
 ある意味では、この本の方が日本史を勉強しようと考える初学者には刺激となるものかもしれない。
 ま、そうすると黒田氏はやはり優れた日本史学習の導き手ということか。

 ただ、二作を比べてもう一つ思うことに、文章が『謎解き洛中洛外図』の方が良いということだ。
 少し、焦って書かれたか、黒田先生。



龍の棲む日本 龍の棲む日本
黒田 日出男 (2003/03)
岩波書店
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小峯和明氏の『中世日本の予言書―〈未来記〉を読む』(岩波新書)

小峯和明氏の『中世日本の予言書―〈未来記〉を読む』(岩波新書) を読んだ。

「野馬台詩」というものがあるということは、今谷明氏の『室町の王権―足利義満の王権簒奪計画』で知ったのだが、よくは知らない。
この本で、「野馬台詩」がわかるかとも思ったが、どうもまだるっこしい。
時間がなく、あるいは引き込まれるところがなくパラパラと流し読みしただけになり、著者の意図もよくわからない。
もし、何かの機会があったら読み直すことにするか。


中世日本の予言書―〈未来記〉を読む 中世日本の予言書―〈未来記〉を読む
小峯 和明 (2007/01)
岩波書店
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田中貴子氏の『室町お坊さん物語』(講談社現代新書)

室町お坊さん物語 室町お坊さん物語
田中 貴子 (1999/06)
講談社
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 田中貴子氏の『室町お坊さん物語』(講談社現代新書)を読んだ。
 室町時代に播磨の国の書写山(しょしゃざん)の鎮増(ちんぞう)という天台僧の残した『鎮増私聞書』(ちんぞうわたくしききがき)などを基に、田中貴子さんが鎮増になりきって書いたもの。
 戒律のことや直談という中世仏教の様子などがわかる外、足利義満~義持~義教の間の政変の雰囲気も感じられる。
 とは言え、やはり鎮増という室町期の僧侶になって書くというのは、無理があったように思う(^_^;)

第1章 鎮増というひと
第2章 円頓戒復興
第3章 法華経直談
第4章 時代の目撃者として
第5章 戦乱の世に生きて
第6章 鎮増と書写山の周辺

【気に入った一節を抜粋】
若いときは誰でも料簡不足です。でも、そういうときに出会った辛い出来事は、その人を一生苦しめるのではないでしょうか。そしてまたその苦しみがあるゆえに、人はその後をよりよく生きようとするのではないでしょうか。

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北方謙三の『武王の門』(上・下)(新潮文庫)

武王の門〈上〉 武王の門〈上〉
北方 謙三 (1993/08)
新潮社
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武王の門〈下〉 武王の門〈下〉
北方 謙三 (1993/08)
新潮社
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 北方謙三の『武王の門』(上・下)(新潮文庫)を読んだ。
 南北朝時代の後醍醐天皇の皇子と言えば、大塔宮親王が有名だが、九州に送られた懐良(かねよし)親王もなかなかの人物だったらしい。征西大将軍として九州征討と統一をめざす懐良(かねよし)親王と、それに仕える菊池武光がスーパーヒーローとして描かれる。小説だから、「男の夢と友情のドラマ」も描かれる(^_^;)
 実は、網野善彦氏の『歴史と出会う』(洋泉社新書y)を読んでいて、網野善彦氏と北方謙三さんの対談があった(p.120)。
北方謙三さんは元はハードボイルド小説を書いていた方らしい。網野氏が「私は一気に読み、たいへん楽しませてもらいました」というので、私も読んでみた。
 私も一気に読み、たいへん楽しませてもらった。確かに、面白い。
 少弐、大友、島津、という九州三人衆の他、一色などを敵として、懐良(かねよし)親王と菊池武光による征西府が困難辛苦の末、ほぼ九州を制圧する。また、倭寇の支持を得て経済的基盤とすると共に、懐良(かねよし)親王自身が倭寇を率いて明の水軍を撃破する、などという見せ場まである。今川了俊が九州探題となって制圧されるのは、菊池武光が急死したため、という設定だ。
 南北朝時代の九州の情勢を感じるのによいと思う。

歴史と出会う 歴史と出会う
網野 善彦 (2000/05)
洋泉社
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